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伊藤環さんのマウンテンマグが出来るまで

2020.05.24

伊藤環
枯淡釉 マウンテンマグ
径7.2×高さ10センチ
(5/26〜オンライン個展 掲載作品)
*マグをお求めの方は、1+0珈琲とatelier campagneのクッキーをセットにギフトボックスのご用意もございます。詳しくは弊店のオンラインストア、「伊藤環オンライン個展」のページをご覧ください

環さんはとても沢山のマグを作られています。同じ作品でも、過去に制作されたものからサイズやバランスが少しずつ移行していくものも。
底から口に向かって窄まった形。底の膨らみ。
この「マウンテンマグ」と名付けられた独特なデザインは、なにかイメージするものが基にあったのか、お話を伺いました。

(以下、環さんのお話です)
「マウンテンマグ」
私の頭の中に浮かんだ最初のマグカップと言えばキャンプで登場する2層式のステンレス製のマグでした。
今から30年近く前の話しです。
お尻の部分が安定するようにぷくっと膨らんだ形がお気に入りで、実際に学生時代一人暮らしでも使っていました。

20代前半に実家の窯元に戻り、最初に作ったマグカップは、そのステンレスマグを写したもので、現在のマウンテンマグの土台として誕生したわけです。
当時はひと回り小さいサイズで、もっとずんぐりしていました。
その頃を思い出しますと、秋から冬に向かう肌寒くなる季節で、冷めにくくする為と、それまで見た事の無い形をと云う若気の至りで口に向かって閉じていく、所謂山形の形を作り始めていたと記憶しております。
高台からの立ち上がりは、ステンレスマグを踏襲しぷくっと膨らんだお尻でした。

ある日、実家の窯元で筆筒花入れという桃山時代の花器を習って作っていた時でした。
高台からの立ち上がりに緊張感を持たす為にエッジが効いた古典的なデザインが、マグにも使えるのでは…と考えたのです。それが現在に繋がるマウンテンマグの2歩目となりました。
それからブラッシュアップを続け、現在もそれは続いております。

最近では口を閉じた形のマグはよく見かけるようになりました。若い作家さんが作られたこの様な形のマグを、とあるお店の方の説明文の中で”マウンテン型”と称される一文を見た時は、カテゴライズされるのは複雑ではありますが、このマグが市民権を得たのだと実に感慨深い思いでした。

余談ではありますが、原型となったステンレスマグを写したデザインですが、地味に枝葉を伸ばし今でも気が向いたら作ったりしています。
そうなんです…実はマウンテンマグには兄貴が居たのです。
言ってみれば、元祖マウンテン型であります。